【絶景】
自宅から一本道を隔て
車で坂を登ること約2分
ゴルフ練習場がある
夕方、そらを連れて
広い駐車場に車を止めると
「早く走りたい!」とばかりに
家内の膝元でジャンプする
「落ち着いて!(笑)」
なんとか首輪にリードをつけると
一目散に走り出した
遅れてついていくと
目の前には夕焼けに照らされた明石大橋
そして海面が穏やかな色に写る
「昨日亡くなったのよ。。」
ご近所で家内が
一番仲良くさせていただいている方の
お母さんが突然亡くなったと聞いた
そんなこととは全く知らずに
いつものようにお互いが出かけた時には
お土産と言って手渡しといいながら
2人でおしゃべりする仲だった
同居されているお母さんの調子が
少し悪いとは聞いていたけれど
あまりに突然過ぎて
全く受け入れられないのと聞いた
なんて言ってあげたらいいか分からず
電話口で頷き涙を堪えながら
「うんうん。。」
と話している家内
電話を切ったあと
「そうか。大変やったやろな」
「落ち込んでた、あまりに突然やって。。」
人はいつか死ぬけれど
その瞬間残された人たちは慌て戸惑う
容赦なくやるせなさが残る
どれだけ準備をしていても後悔をする
この年齢になるまで
たくさんの死を越えてきた
その都度残された人間として
ゆっくり時間をかけて弔い
いつまでも絶対に
忘れないようにすることだけが
最大の供養だと
自分は信じてきたし生きてきた
「お父さん。綺麗ね、絶景ね」

と、言ってから手を合わす家内
この人もたくさんの死を知っている
ゆっくり2人でその風景を眺めていた
人は死の直前
自分が人生で見てきた風景全てを
フラッシュバックし思い出す
と聞いたことがある
元気だった頃
亡くなったお母さんは
ご近所のこの山からこの絶景を
きっと見たに違いない
そんなことを考えていた
最後までご愛読ありがとうございます
海はこんな時もいつも優しくて悲しい
Posted at 09:39