【背くらべ】
「お父さん!雨!雨!」
ふと目をやると
微かに窓に雨の滴が見えた
二階に慌て走り上がる家内を
リビングのソファから寝転び眺めていると
家内の動きに合わせるように
そらが家内の後を追う
二階の窓という窓を全開にしているので
雨が入りこまないようにと
家内のその動きのシャープさは
今、私が全力で追いかけても
無駄なのはわかりきっていた
こんな時はせめて
階下でバカみたいに吠えているそらを
抱き上げるくらいが私の出来ることと考えた
「ハイ!セーフ!(笑)」
満開の笑顔で
階下に降りてきた家内の元気さがありがたい
「164センチもあるんやって! ビックリ!」
私たちの初孫、福岡に住む長男の子が
小学校6年生にしてすでに
身長163センチの家内を追い越したと聞いた
小学校ではバスケットボールを始め
身長を生かし今やエースの活躍だと
謙虚な長男からは珍しい言葉があった
「子供達も神戸に行きたい~と言ってましたが
今日正式に会社から
県を跨いだ帰省等の自粛要請があったこともあり
今年は難しそうです。ゴメンね」
と先月連絡があった
子供達、孫たちの帰省を
心待ちにしている家内は気丈に
「大丈夫!大丈夫!」
と言ったものの
決してそんなことは口には出さないですが
やはり寂しさはあったような気がするのです
「今度のお正月には
お父さん抜かされてるかもよ (笑)」
「まさか!(笑)」
7人いる個性ある孫たちの顔が浮かぶ
全員いつか私たちの身長を超す時がくる
息子たちは並ぶ間もなく
私の身長を遠い昔に超えた時
何とも言えない嬉しさがあった
それが気がついたらあっという間に
息子たちはおじさんになっていた
長男もいつか自分の子に背を抜かれる時がくる
その成長が泣ける時がくる
それで良いのだ
しかし私は孫に抜かれるのも時間の問題
まさかそんな時が来るとは思わなかった
かと言って今さら身長が伸びる訳もない
その時、きっとその場面で
強烈なタッグを組む
異常に身長に厳しい娘と家内が
ゲラゲラ笑いながら嫌がる私を並ばせ
「おとう!負けてるやん!(笑)」
「ハイ、お父さん、ボロ負け!(笑)」
敗北近し。。
目に浮かぶようであります
誰か助けて!
最後までご愛読ありがとうございます
ちなみに私、先月の健康診断で
身長0.6センチ伸びてました
(目一杯。アゴを引いていました)
合掌。。。
Posted at 09:39