【父の日】
「お父さん、父の日おめでとうございます。」
子供達全員から、それぞれの
想いのこもったプレゼントを頂けることが
ありがたい幸せなことだと思いながら。。
それでも、そんなありがたい日でありながらも
考えるのは。。
私には、まだ父親が居る。。
父の日にお祝いを出来るひとが居る。。
でも家内には、父親が居ない。。
20年前に、親孝行のひとつすらも
叶えることが出来なかった
優しかったあの父親は、もう居ないのです。
そんなことを考えていると
何故か本当に家内にも
申し訳ない気持ちになるのです。
世の中には、「父の日」「母の日」に
「早く一日が過ぎて欲しい」
と考えるひとが 少なからず
いらっしゃると思うのです。
そう、それは私がまだ小学生の頃
同じクラスのO君の父親は
彼がまだ幼い時に病気で亡くなり
母親と二人で暮らしながら
誰もがそうであった、あの時代らしく
たくましく学校生活を送っていたのですが
あれはいつの日だっただろうか？
明日は「父の日」で
ちょうど、その時期に合わせて
「父親参観」が小学校で行われる。
もちろん、片親しか居ない子供達も居ましたが
残酷なのは
そんな父親が居ないO君に対して
「明日、O、おまえ誰が来るねん！
オカンか（笑）！！」
と容赦ない、心ない言葉が
飛び交っていたのです。
気が強かったO君は、全く怯まず
「アホか！
オトンおらんのじゃ！誰も来るか！」
と 負けずに、向かっていったのです。
あまりの、彼の怒りに
言葉を浴びせた クラスの悪玉？も
シュンとなったのです。
そんな言い合いも大きな問題にはならず
学校からの帰り道が一緒だったO君と
遊びながら帰る私と、別れ際に
一切、そのことに触れない私に対し
「ふっきゃん
何で俺、オトンおらんのやろ？」
「死んだんやろ？病気やろ？」
「わかってるけどなぁ。
何で死んだんかな？」
「。。。。。。。。。。。」
黙る私にO君は
「父の日なんか無かったらええのにな。。」
と歯を食いしばって 涙を我慢していた。。
私はそれを見て
何かを言わなければと思い
「O君、明日休むか？」
と、今思えば恥ずかしい情けない言葉しか
出てこなかったのです。
するとO君
「いやぁ、俺休むかいな。絶対休まんって！
行かんかったら負けや！」
と呟いたのです。
「そりゃええわ。明日休むなよ。」
と言って別れた
あの時のあの光景が忘れられないのです。
次の日に、もちろん堂々と
彼は授業参観を受けていましたが
背後にたった一人の女性が
目を細めて教室の端っこで
彼だけを見つめていたのです。
母親は特別、担任のH先生からの
了承を取り、お父さんのみの参加だった
授業参観に来ていたのです。
そんなO君は、小学校高学年から
人が変わったように勉強して
国立の大学に入り、教師になり
今では校長先生をしているのだそうです。
きっと彼の教えを受けた生徒達は
人の痛みや思いやりを
O君から教えてもらってるに
違いないと 思うのです。
彼の「何で父の日なんか。。」と私に呟き
それでも、負けなかったO君を
どうしても 毎年思い出し
そんなどこかで父の日なんか。。
と思っている。。
O君みたいな、そんな人全員に
絶対に 負けて欲しくないと思うのであります。
最後までご愛読ありがとうございます。
父の日、母の日。。
大切なことなんだろうけどね。。
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Posted at 09:39