”君と一緒に。。”
「これは、先天性の、前脚の異常ですね。」
「先生、治りますよね？
まだ赤ちゃんですよ。。」
「完治はしません、残念ですが。。」
「先生！そこをなんとか！
普通に走ったり遊んだり出来る様に
治して頂けないでしょうか？」
今から、約9年前。。
フラリと寄ったホームセンターで
私の顔をジーっと見て、涙を浮かべ
絶対に届く事が無い
ペットショップのウインドウから
一度ちょこんと座り直し
私の目を離すまいとした君を見たのだ。。
思わず
「ちょっと、触らせて頂いてもいいですか？」
と、店員を呼び止め
真っ白なマシュマロの様な君を
「抱いてみたい！」
と言った時
家内や、娘は
「まさか？」
と思ったに違いない。。
しかし、私の心はすでに、決まっていたのだ。。
「今すぐ、連れて帰る事なんか
出来ませんよね？」
「大丈夫ですよ！もちろん！」
と言われ 家内が
「お父さん！アカンって！無理！無理！」
当時、既に
震災で行き場を失った、一匹と
道端で、捨てられていた、もう一匹の犬を
私達の家族として育てていた 私達家族に
もう一匹、家族を増やしたいと言い出した私を
止めても無駄。。
と思ったのでしょう。。
「でも、本当可愛いね！大丈夫よね！」
と言ってそのまま 連れて帰る時
少し臆病だった君も、翌日には
「ここで産まれたかの様」
に走っていた君に
変化が、現れたのは、間も無くの事だった。。
「あれっ？お父さん、おかしいよ？この子？」
見ると、左足を地面につける時に
少し痛そうな感じがしたのだ。。
「チョコ。。どうした？痛いの？」
それから、つぶさに観察していると
明らかに歩き方がいびつなのだ。。
「左足が少し曲がってないか？」
「そっかなぁ。。でも痛いんやろか？」
それなら。。と思い
動物病院に連れて行くと
先述のくだりのになり。。
「このままですか？本当にこのままですか？」
「いやぁ。。手術をして
一回、今、骨を敢えて骨折させ
痛みを緩和するという事が
あるかもしれませんが完治は無理ですね。
それと、その手術をして
まぁもちろん完全麻酔ですから
ひょっとして 体力が。。持つかなぁ。。
それも、難しいですが
私達にもどうなるかわからない
というのが本音です。。」
「先生！そんな。。
全く。。自信が無いって事ですか？」
「そうですね。。約束は出来ませんな。。」
なんじゃ！この先生は！！
「行くぞ！！もういい！！」
と踵を返して、チョコを抱きしめ病院に向かい
「ヤブ医者！バーカ！」
と今思えば
何という悪態をついてしまったのか。。
それでも、どうしても、その先生から
私には「温かさ」を感じなかったのです。。
「お父さん、どうする？」
心配そうに、私の顔を覗き込む家内に
「あんな、無責任なヤブ医者に任せれるか！」
「でも。。。。」
「大丈夫じゃ！わかってるんは
俺らが、この子を育てる！って事だけや！
気合いで、直したる！大丈夫！！」
家内は、それを聞いて
「うん。。うん。。」
と泣いていた。。
そんな、精神論で育てる事の
無茶を言っているのも わからない程
その時の私達は、高揚していたのだ。。
あれから、9年の歳月が過ぎ
ありがたい事にチョコは
生まれつきの自分の前脚を
器用に、踏ん張り？
全く自分の異常に気がつく事も無い様に
元気に育ったのだ。。
さらに、二匹の愛犬も、老衰で亡くなり。。
(この事は一生書きたく無いのです。。)
たった一人残った、我が家のチョコも
先日、寒いだろうからと。。
家内が「ダウンジャケット」を
買ってくれたのだ。。
私が、散歩の時に被っている
100均の毛糸の帽子の替えすらも
買ってくれない 家内が
「このダウンジャケット買ってあげて！」
とねだると
「えっ！幾ら？3700円。。安いね。。」
と言って買うのだ。。
それを、無理矢理着せられ？
「可愛い！！！」
と家内と二人で、抱き上げると
少し笑った様な気がしたのです。。
大きくなったなぁ。。
夫婦で心から思っているんだ。。
君と一緒に、ずっと居たい。。。
最後までご愛読ありがとうございます。
しかし、最近は良く眠るなぁ。。。君は。。
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Posted at 09:39
