”張り切っているのに
張り切って無いふりをする。”
「あーっ。。そう言えば。。
シャンプーが切れそう。。」
「シャンプー？」
「お父さん、バスクリン入れ過ぎ！」
「入れ過ぎか？」
「あっ！それ残しててね。
孫たち喜ぶからね。」
「食べたらアカンの？」
「そや！忘れてた！ぽち袋買うの！」
「お風呂やさん、行くよね。。もちろん。。」
「これ以上、入らへんかな？冷蔵庫？」
「チョコ！！もうすぐウルサイのが来るよ！」
「どれだけ、実家が好きなんやろ。。
ふふふ。。」
「あっ！それ、録画しててね！」
お正月が近づいて来た。。
毎年。家内の口数が通常の5倍に
膨れ上がる時期がやって来たのだ。
ほぼ、独り言と思われる
回数も増えてきて
隣で、仕事をしている私に聞こえるか
聞こえないかの 音量で
さも
「私は張り切ってはいません。。」
みたいな日常が 益々、増えてくるのだ。。
順番に子供達、孫たちが
この狭い実家に帰って来る。。
12月の声を聞いた途端
全てが「この時」の為に
家内は動き出すのだ。
間違っても
「なんか燃えてるね。」
なんか言ったものなら
急に家の中が暗くなるのだ。。
「お父さん、ちょっと、コスモス寄って！」
「お父さん、ちょっと、コーナン行って来るね！」
「お父さん、ちょっと、酒屋さん、見てみる？」
絶対に逆らってはイケナイのだ。。
タチが悪い事に
「張り切っているのに
張り切って無いふりをする」のだ。。
何年か前
「ええい！面倒くさい！」
と言ってしまった私に大晦日の日
日本酒をガブ飲みした家内が
「ウルサイ！！ハゲ！！勝手ばっか！！」
と酔いつぶれ
散々な、大晦日を過ごした事があるのです。
日頃からの鬱憤が溜まっていたのか
その時の恐ろしさは
今だに、覚えているのです。。
家内にとって
「命！！」 と思える
子供達とのお正月を
万全に迎えたいのです。
素直に
「嬉しーい！！！！」
と言えば良いのですが 何故か
「張り切って無いふりをする」のです。
どちらかと言うと
「あー困った。。。大変やねぇ。。お父さん。。」
と半笑いで言うのです。
間違っても
「ホンマに大変やで！！」
とは言えず
「まぁありがたいな。。
皆んなが寄ってくれるからな。。」
これが、パーフェクトな答えなのです！！
神戸で育てた、子供達が
もちろん、それを望んだのですが
それぞれの街で自立している。。
家内は子供達が、幼かったあの全てが
母親の側に居たあの頃の
あの、一番、大変だった自分が
死にもの狂いで 育てた、その頃
「いつか、こんなお正月を迎えたい。。」
と願った。。
子供達が居て、孫たちが居て。。
そんなお正月に賭ける想いが
人一倍強いのでしょう。。
「張り切っているのに、張り切って無いふり」
をする家内を見て
「よっしゃー！頑張りまっせ！！！」
と心の中で、叫ぶのです。
「お母さん、楽しみやな。。」
「そう？」
素直じゃないのである。。
最後まで、ご愛読ありがとうございます。
無事迎えたいね。。お正月。。
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Posted at 09:39
