【チャーン島②】
「サワデイカップー!」
2時間近くかけて行った
お目当てのレストランに入ると
暇を持て余しているように見える
数人の従業員が声を合わせて駆け寄ってくる
全員がワイをしている
「良いお店だね」
と言うと
「お客さんはイープンか?(日本人か?)」
と、よほど珍しいのだろう
こんなローカルなタイレストランに
日本人を見かけることもないのだろう?
初めて見たとばかり
他の従業員も興味深そうにこちらを見ている
しかし、悪い人ではなそうだと思われたのか?
そこから彼たちのこれでもか!といった
サービスを受けるのであります
「ボス!こちらへ!」
と急にこの人はボスに違いない!
と多分そのお店の中で1番良い席?
と思われる場所に案内され
砂浜にテーブルがあり
ゴザみたいなところで
タイの枕を背に寝転ぶように促され
「どうだい、ボス!!
ここから見える星を見てくれ!!」
満面の笑顔が指差すその夜空は
12年経った今でも忘れられない
少し手を伸ばすだけで
本当に星に手が届くようで
砂浜の薄灯りのランプも要らないほどの
星の明かりが落ちてくるようで
声もあげられないくらいの感動をしたのです
黙ってポカンと見上げる私を見ていた
従業員たちが私の顔を見て
さらに安心したのか
気がつけば従業員全員が
珍しい日本人の周囲を囲むようにいたのです
懐中電灯でゆっくりメニューを見せてもらうと
あまりの桁違いの安さにびっくりして
数品頼んだあとに、コーラを飲んでいると
「ボスはビールを飲まないのか?」
と聞くので
「残念だけど飲めないんだ(笑)」
「日本人は飲めないのか?」
「そんなことはない
私が飲めないだけだ(笑)
それより今日は暇なのか?
君たち退屈そうだね?」
「今日はお客さんひとりだ。ボスだけだ」
「そうか。。」
「大丈夫だ、こんな日もあるのさ。」
「良かったら、なんかの縁かも知れないし
今日は気分が良いので、みんなに一杯ずつ
私からビールを奢らせておくれ」
「本当か!!
あなたはなんて良い人なんだ!!」
結果、気がつけば
従業員全員が浜辺でお酒を飲みながら
歌ったり踊ったりしていた
楽しい時間も過ぎ
少し会計が気になったけれど
「サンキューボス!!
本当に楽しい時間をありがとう!!」
差し出された伝票には
トータル2960バーツ(約1万円)
まさかの安さに二度びっくり!!
3000バーツを支払い
また2時間かけてホテルに戻ったのです
バイクを止め
ホテルのフロントを通り過ぎようとすると
「軽く1時間かかる」
と言っていたスタッフがかけより
「本当に街に行ったのか?」
「行って来たよ」
「何時間かかったの?」
「2時間くらいかな」
「オーマイゴット!!!
じゃガソリンなかっただろう?」
「まぁなんとかなったよ(笑)
しかし楽しかった ありがとう」
と、レストランで過ごした時間を
私なりに楽しく伝えると
「せっかくこんな良いホテルに
泊まっているのに
あなたは変わった人だ
私でも2時間かけて行かない(笑)」
「そうかもね(笑)」
と、言うと
今度は最敬礼され右手で部屋の方に誘導され
白い歯を出し私の人生で
これ以上の素敵なウインクを見たこともなく
あれがきっと
人生最高のウインクだったろうなと信じ
またそのタイミングで低い声で
「素敵な夜を!ミスター」
あの夜、あのチャーン島を
12年経っても忘れられないのです
最後までご愛読ありがとうございます
あのレストランは
まだ営業しているだろうか?
Posted at 09:39