”人として”
「ええか。しょうじ。
大事なんは嫁さんやで。子供達と違う。」
「嫁さん？」
「そうや。お前もいつかは、結婚する。
いつかは人を好きになる
その人と結婚する。
そして、子供が生まれる」
「僕がか？」
「そうや、お前はまだ、子供や。
けど、今から言う事をちゃんと覚えとけ」
「うん。わかった。。」
私のその後の人生の、運命が
この時の、この叔父からの言葉に
左右された瞬間かもしれません。
私はまだ当時8歳か、9歳
だったと思うのですが
姫路と云う所で
鉄工所を経営していた叔父の
生き方全てが人としての
「家族の在り方」
を徹底的に教え込まれたのです。
「夫婦が仲良く！！」
「見返りを求めるな！！」
「嫁さんだけを愛しなさい！」
「絶対浮気はするな！」
「人に尽くせ！」
「子供の躾は厳しく！」
「夢を持て！」
そんな、まだ8歳や9歳の子供に
叔父は顔を紅潮させて
夏休みに、必ず長い期間
「お泊まり」していた私に
毎晩、一緒にお風呂に入り
熱弁していたのです。
私は、言っている意味を
ほぼ、理解出来なかったとは思うのですが
「熱いから、早く上がりたい」
と思っている私にも
子供に言って聞かせて。。
と云った感じでは無く
それは、それは真剣に語ってくれたのです。
何となく、叔父の言葉が後々
痛いほど効いてくるのでした。
一人の男として
当時、姫路の町工場として
かなりの従業員を 抱え
良い時代でもあったのでしょう。
羽振りの良いのは
幼い私ですらも感じていたのです。
それでも、家族や、兄弟、親戚を大切にし
長男である事で
一家を総まとめされていたのです。
どんなに、仕事が忙しくとも
決して泣き言も言わず 豪快に笑う姿に
私は叔父が大好きでたまらなかったのです。
何より、夫婦の仲の良さは、際立っており
豪快な叔父に、三歩下がって。。
と見えた叔母さんの 優しさは
今でも私の脳裏から離れないのであります。
私の理想の夫婦像は
実は、この叔父夫婦を
目標にして来たのです。
いかなる時も
「こんな時だったら叔父さんは。。」
と考えてしまうのです。
人として、生きていくための
男の美学を叩き込まれたのです。
もちろん、叔父夫婦の
足元にも及ばないとは思いながらも
少しは「叔父さん、見ていてよ」と言える様に
これからも 精進していきたいなと
本日、お恥ずかしいながら
誕生日を迎えた私が
いつの日にか、私に人生を教えてくれた
叔父さんの事を書きたかったのです。
90歳前であるにも関わらず
お元気でいらっしゃる叔父夫婦に
心から、感謝したいと思います。
長生きして下さい。
最後までご愛読ありがとうございます。
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Posted at 09:39
