【「君と歩いた青春」② 】
「凄いスピード出るんですね
この車何て言うんですか?」
「あぁこれか。サバンナやサバンナRX7や。」
「RX。。7。。ふーん。。」
この何も知らなさそうな少女を連れ
どこかに向かおうか
そんな良からぬことを考えていた。。
たまたまアルバイトに来たレストランの主人と
自分の父親が
警察時代の友人だったことで
安心したのだろうか?
アルバイトに来て約3ヶ月くらいだったろうか?
「送って行ったろか?」
に
「えー本当ですか!ありがとうございます!」
それでも助手席に乗る佳子さんは
全くのスキを見せないくらい
ガードの硬そうな雰囲気でありました
女性と2人っきりになると
緊張でほとんど喋ることが出来ない私に
印象が違ったのか?
あまりにびっくりしたのか?
耐えられなかったのか?
「昭二さんはどんな音楽聞くんですか?」
と聞かれたので
「風。伊勢正三さん」
とはまさか言えず
「まぁいろいろやな。」
と言うと
「そうなんですね。。」
とまた沈黙。。
これではいけないと思い
「君、何聞くの?」
と聞くと
「サザン。ユーミンかな。。」
なんじゃやっぱサザンにユーミンか。。
見た目通りやなと思ったのですが
そのあとすぐに
「私、風。伊勢正三さんも大好きです!」
と言うではないか!!!
思わずブレーキをかけそうになったのですが
はやる気持ちを抑え
「えっ?ショウやん知ってるの?」
「ハイ。私、この前。
文化祭でバンドを組んでるんですけど。。
フォークソングのバンド。。
伊勢正三さんの風の唄で
「君と歩いた青春」を歌いました」
まさか。。。。
伊勢正三、風を知っているなんて。。
それだけで嬉しくなり車を止め
風、かぐや姫のカセットテープを全て広げ
最初のデートで二人で大声で歌ったのです
もちろんひとり期待したことは何も起こらず
「全く見た目と違うんですね(笑)
今日はありがとうございました」
と言って車を降りた佳子さんを追いかけ
何を思ったか?このままではいけない!と思い
握手だけでも。。
と言ってから約40年15人の大家族に恵まれ
いまだに車に乗ると
「風」「君と歩いた青春」を歌っている。。
40年前と全く変わらない私たちがいる
それはそれで不気味なくらいにも感じるけれど
ずっと「君と歩いた青春」で良いと思う私がいる
最後までご愛読ありがとうございました
大久保一久さんのご冥福を心からお祈り致します
あなたのこと忘れません
ありがとうございました
Posted at 09:39