【母の墓前にて】
先日、お彼岸にお墓参りに行って来ました。
神戸の山手に立つ墓地は
海も山も一望出来る高台にあり
お墓参りに行く度に
すーっと深呼吸をすると
その季節、季節を肌で感じるのです。
「もう秋やなぁ。お母さん。」
「うん。おばあちゃんも好きやったよね。。
おばあちゃん来たよ。しょうじ来たよ。
末っ子来たよ。（笑）」
そのように語りかけるようにしながら
家内はお墓の周りを掃除している。。
「RもNもSもそれぞれ、頑張ってるからね。」
母に孫たちの現状を詳細に伝え終わると
「お父さんもちゃんと報告しときね。」
「何を？」
「何しに来てるん？（笑）」
「何か、オカンに偉そうに言うのんが
イヤやねん。。」
「違う（笑）違う（笑）報告だけやんか。」
どうも、お墓参りが苦手なのだ。
それはもう、一方的に
報告することでしかないのですが
何故か言えないのです。
「じゃぁ心の中で報告してあげてね。
おばあちゃんに。」
そんな教育的指導？を受けながらも
実は心の中では全く関係ないことを
考えているのです。
「オカン。俺はなんで、あの時
あんなこと言ったんやろ？」
母親が、脳梗塞で倒れる前
少し自分の事業が軌道に乗り出し
「オカン、もう楽してええんや。
俺が全部面倒見たるわ。」
「そうか。ありがとうな。
お母ちゃんになんか出来ることあるか？」
「大丈夫やオカン。何もない。心配ない。」
そう言った時
オカンは心から喜んでくれるだろうと
思ったのです。本当に。。
ところが
「そっか。。お前は親孝行やな。
ありがとうな。」
と言った言葉の語尾
そう、それはほんの一瞬だったけど
語尾が聞き取りにくいくらいの
声だったのです。
「嬉しないんか？オカン？」
「そんなん嬉しいに決まってるわ。」
その言葉は一際大きい
いつものオカンの声だったのです。
しかし、その時の母親の気持ちを知ったのは
残念ながら、もっと先の
母親が亡くなってすぐのことでした。
一冊の本に書かれた一行に
「母親は頼られたいんよ。
いくつになってもね。」
確か、こんなフレーズの行を見た時
大馬鹿な私は
「あっ。。オカン。。」
とその場で崩れそうになったのです。
そんな簡単なことを
誰にでもわかるようなことを
その時の私には
全くわかっていなかったのです。
立派になって、母親を安心させたい。。
と思って頑張って来たのに
「オカンに、してもらうこと何もない。」
そんな、大馬鹿な言葉でどれほど
母親は、もう、私には息子の為に
してあげることがない。。
頼りにもされない。。
全力で私達子供を
育てて来た母親にとっては
それほど、辛い言葉だったんじゃないかな？
と今思うのです。
それから、数年後に倒れた母親は
１０年以上の寝たきりで
自分の身体も寝返りすら出来ないまま
約3年前に亡くなったのです。
母親の墓前に立ち
そのことを考えていると
いつも「オカン、すまんな。」
としか、報告出来ないのです。
私は親不孝な馬鹿息子です。
苦労をかけたオカンに
胸を張って報告出来ない男なのです。
「よっしゃー！
お母ちゃんがやったる！助けたるで！」
そんな若く元気だったあの頃
私達子供が頼っていた母親が
実は一番人生で
幸せだったんじゃないだろうか？
最後までご愛読ありがとうございます。
皆さんもどうですか？
いくつになっても
ご両親を頼ってあげて下さいね。
真剣にご結婚をお考えの貴方
おせっかいな私達にお任せ下さい。
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Posted at 09:39