【生クリームパン】
「ピンポーン!ピンポーン!」
夕飯前、家のチャイムが鳴るので
モニターを見ながら応えると
またあの青年が!!
朝10時過ぎにも来た彼が
同じようにニコニコ笑いながら立っている。。
「生クリームパン要りませんか?」
この静かな住宅街に
突然現れた「生クリームパン」に戸惑い
「ごめん。結構です」
と、やはり薄気味悪いのであっさり断ったら
背後でそのモニターを見ていた家内が
「えっ?生クリームパン?
何を売りに来てるんやろ?(笑)」
「怖いわ。なんか。。
生クリームパンなんか
訪問販売するんやろか?」
「でもさ。おもしろそうやん
ちょっと見てこよ」
と、言って家の外に飛び出した家内が
残念そうに戻って来て
「いないよ。生クリームパン」
「やっぱり、なんか怪しいで
留守かどうか確認してたかもしれんな」
「こわー。。」
そんなことがあったのですが
夕方、またもや やって来たのです
「生クリームパン要りませんか?」
マジか!? と、思ったのですが
家内がモニターを見て
「お父さん!リアカー引いてる!
生クリームパン売ってるよ。ホントみたい」
急いで玄関を夫婦で出て
諦め帰ろうとしていた青年を引き留め
「お兄さん!
ほんまに生クリームパン売ってるの?」
「えー!嬉しいです!
ありがとうございます!」
見るとリアカーの中から
シュークリームやらバウンドケーキや
いろんな洋菓子が入って行商に来てるのです
なんだか可哀想になり
「お兄さん、これ売れないと帰られへんの?」
「そーなんです!もう寒くて、寒くて(笑)」
「ところで、これいったいいくらすんの?」
「シュークリームですか?!一個280円です!」
見れば何の変哲もなさそうな
シュークリームが280円
微妙。。だとは思ったのですが
隣の家内を見ると
完全に「買ってあげたら?」
の顔をしていたのでセコく
「じゃ二個だけ。」
と、言うと
「えー。。二個ですか?
この抹茶生クリームパンも是非!」
と、結果4個の生クリームパンを
買うことになったのであります
何度も頭を下げて
リアカーを引きながら帰る青年に
「頑張りや!若いから大丈夫! ガッツやで!」
ちょっと古いか。。
「ガッツ。。」 ま、いいやと
夫婦で手を振り見送っていると
ご近所の人が
何故かクスクス笑いながら通り過ぎて行くのです
「お母さん、良かったな。喜んではるわ」
「ホント。ホント。良かったね」
人助けをしたような気がして
家内はとても幸せそうでしたが
お風呂上がり4個並ぶ生クリームパンを眺め
「お父さん。ちょっと。。
食べるの気持ち悪いね。お父さんから食べて」
だ、そうです
最後までご愛読ありがとうございます
生クリームパン
明日も来たらどうしよう?
Posted at 09:39