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「いちにい。いちにい。」  [2018年10月17日]
【「いちにい。いちにい。」】
 
 
「どうもこんにちは」
 
 
ご年齢は80歳を過ぎているだろうか?
 
 
昨日の定休日
 
夕方いつものようにチョコを散歩に連れていると
 
私たちの目の前を老夫婦がしっかりと手を握り
 
住宅街の坂道を歩いているのです
 
 
奥様の少し足の具合が悪いのか
 
足取りが重く一歩ずつゆっくり
 
二人で確かめるように歩いていたのです
 
 
とても紳士的に見えるロマンスグレーのおじいさまが
 
 
「いちにい。いちにい。」
 
 
と奥様の手を支え
 
リズムを合わせてねと言っていたのです
 
 
私の目の前を通り過ぎ、右に回った老夫婦は
 
そこも緩やかな坂道になっているのですが
 
やはり同じように手を握っていたのです
 
時折顔を見合わせニコニコしていたのであります
 
 
(イメージ無料画像引用)
 
その後ろ姿、二人の背中を見て
 
私はとても美しく
 
素敵なものを見させていただいたと
 
通り過ぎたあともずっと眺めていたのです
 
 
ここからは勝手な想像ですが
 
お二人はご結婚して、すでに50年以上経ち
 
定年後、静かなこの住宅街でお子さんたちは自立し
 
今はお二人でゆっくりと余生を過ごしていたのでしょう
 
 
しかし奥様の具合が悪くなって
 
若い時は手を握って歩くことなど
 
私たち以上のご年齢の方は
 
考えられない時代を過ごしたでしょうが
 
今のお二人には手を握る姿が
 
あまりに自然で風景に溶け込み
 
凛とした美しさを感じるのです
 
 
夫婦になり同じように歳を重ね
 
老いを感じようとも
 
その老いですら愛おしく感じるのが
 
本当の夫婦だと私は思っています
 
 
積み重ね、積み重ねたことで
 
今では自分の半分は家内が占めているような
 
恐ろしさ?を感じ
 
この前など誤って階段から家内が落ちて
 
脚が青タンだらけになった時など
 
自分の脚まで痛いような気がしたのです
 
 
幸いに大ごとにはならなかったですが
 
もし骨でも折っていたらと考えると
 
ゾッとしたのです
 
 
その時は、私が手を握りこの坂道を
 
「いちにい。いちにい。」
 
とゆっくり歩いてあげたいと思うのです
 
 
そんなことをセンチメンタルに考え
 
夕飯の時に静かに家内に話すと
 
声が1オクターブ上がり
 
 
「私がぁ?お父さんに?
 
 いちにい。いちにい。って(笑)
 
 無理!無理!(笑)な訳ない(笑)
 
 どう考えても「離せ!離せ!恥ずかしい!」
 
 って言うやん(笑)恥ずかしがりやん」
 
 
ハイお終い 駄目だコリャ。
 
 
最後までご愛読ありがとうございます
 
 
しかしカッコ良かったなぁ
 
あんな夫婦になりたいな
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                      

 

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Posted at 09:39