【杓子の水】
「わぁ！やめて！」
そう言いいながら逃げ惑う二人の孫たちの
頭に水をかけた時
全員が大きな声で笑ったのです
娘や義息子、家内、かけられた孫たちも
お墓中に響きわたるようにはしゃぐのです
神戸の山の中腹にあるお墓の
この見晴らしの良い静かな場所に
こだまするのです
杓子の水をたっぷりと掬い
孫たちを追いかけると
娘はいかにも待ってました！
そんな空気が流れるのです
「ひまいぶもじいじにやっちゃえ！」
「わぁやめろ！やめろ！」
今度は二人が杓子に水をたっぷり貯めて
私を追いかけるのです
迷いなく私は身体にかけられたので
もうビチャビチャ。。。
こうなるともう止まらない！
娘も参戦してきて
ひまいぶの頭にばさっ！！
「わぁぁあああああああ！！！」
「やめどぅんだ！！ちゅめたいだど！」
弟のいぶがやはり関東弁で
どこか男らしくなって正義感たっぷりに
立ち向かう姿はとても頼もしいのです
しかしもう二人は気づいた時には
全身、バケツをひっくり返したような姿で
もうビチャビチャ。。
すると娘が
「ハイ！全部脱ぎなさい！」
車にそのまま乗せるわけにはいかないと
裸にしたら
全身タオル地でズボッと被ることの出来る
ワンピース？みたいな服を出して
手際良く着せて車に乗せるのです
「ハイ、楽しかったね。
じいじにありがとうは？」
「じいじ。ありがと！」
毎回、心ない（笑）この「ありがと！」は
見事な ハーモニーを奏でるように
二人の声が揃うのです
結果、誰も居なかったお墓といえ
杓子の水をかけまくるといった
不謹慎なことでしたが
お墓に眠る私の母が生きていたら
こんな私たちを見て
一番笑ってくれたんじゃないかと思うのです
「しょうじ！オモロイ！」
顔をクシャクシャにして
泣いて大きく手を叩きながら
笑ったのじゃないだろうか？
きっと、娘はお墓参りに行くと
少しセンチになることよりも
おばあちゃんが大好きだった笑顔で
子供達の元気な様子を
伝えたかったんじゃないだろうか？
そんな気がして仕方がないのです
ビチャビチャになった私たちではありましたが
杓子の水はどこか優しくそして心地よいのです
最後までご愛読ありがとうございます
母親４回目のお盆のお墓参りにて
真剣にご結婚をお考えの貴方
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Posted at 09:39