【恋人の逢瀬みたく】
「ハイ！お電話ありがとうございます。
結婚でお悩みでございましょうか？
こちら結婚相談所ベスカ神戸でございます」
「あ。父さん。僕。今少し大丈夫ですか？」
ふと見ると次男からの着信に
声を変えて出ると
どんな反応をするかな？
と思っていると
娘なら必ず乗りツッコミが入り
「あのーそうなんですう。
結婚に困ってまして。
ってなんでやねん！（笑）」
そうならないのは
やはり生粋の生真面目さがそうさすのかななぁ。
と思うのです。
どうして、こんなに姉弟で違うものなのか？
「お父さん。
今度火曜日に大阪に出張に行くので
一緒に御飯でもどうかな？って 思って
あんまり時間は無いんですけど。」
「大丈夫、じゃ大阪まで行くわ。」
何だか忙しそうな電話の感じ。。
そりゃそうだろ。
以前、彼のスケジュールを聞いた時に
改めてサラリーマンは無理！
と確信した私ですが
更にコンサルタントの
彼のスケジュールはタイトになっていて
世界各国、日本の各県を飛び回っているのです。
その動きは、全く私たちの予想を遥かに越え
「今日は〇〇国の大使館に呼ばれていて
社交界デビューでした。」
「昨日はモザンビークの政府との交渉です。」
「外務省からの依頼で。。」
それも、決して私みたく
どこか自慢が入る訳でもなく
長男同様
「一ミリも自慢が入らず。」なのであります。
「それって、凄いやん！」
「いやぁ。全くです。僕なんか。。」
昔からずっとそうなのです。
そんな息子が可愛くて仕方ない家内は
久しぶりの「恋人との逢瀬」みたく
朝からソワソワ。。。
「夕方やで。大阪で約束。まだまだやで。」
そう言っても聞かないのです。
「お父さん、何着て行こか。私。」
「そんなんどうでもええわ。
スウェットでもええわ（笑）」
と言うと
「お父さんはデリカシー無いね。」
いらんことを言うんじゃなかった。。
こんな「大切な日」に
気分を下げるようなことを言うと後が怖いのだ。。
そして夕方
待ちに待った息子との対面に
大阪駅、人通り激しい新阪急ホテルの前まで
車を横付けて待つ私と
待ちきれず車の外で迎える家内。。
すると私の車が見えなかったのか
先に家内を見つけた息子が
少しはにかむような顔で
家内に近づいているのだ。
家内は、あの喧騒の中
息子を見つけると 大きな声で
「Sくーん！！こっち！！こっち！！」
その顔は、久しく見たこともないような
「おひさまポカポカ。えべっさん笑顔」
だったのです。
「恋人の逢瀬みたい。。」
ひとり車の中で笑っていたら
一緒に乗って来たお邪魔であろうチョコが
私の手を舐めたのです。
その仕草は、さも
「俺たちはお邪魔やって。。
今日はしゃぁないな。」
結果
大阪の街で串カツ、ラーメン
純喫茶で 親子で大いに盛り上がり
つかの間の逢瀬を楽しんだのです。
帰り道家内が車内で
「あの子、半袖やったから風邪引かへんやろか。。」
だって。。
もうあなたの息子は３０歳です。
大丈夫です。。。
最後までご愛読ありがとうございます。
しかしどう頑張っても息子には勝てない。。
まぁ私にはチョコがいますけどね。
（実はチョコも家内派。。）
真剣にご結婚をお考えの貴方
おせっかいな私達にお任せ下さい。
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Posted at 09:39