【オサムちゃんの初恋①】
「ふっきゃん。どうしょ？俺苦しいわぁ。。」
「ちゃんと食べなあかんで。
全然減ってへんやないか！」
「もう俺死ぬわ。
顔見てただけで、なんか死にそうになる。」
「大袈裟なこと言うな！
まぁ俺が作戦立てたる！」
オサムちゃん14歳の夏
同級生で極めて仲の良かった私に
オサムちゃんは連日連夜
恋の悩みを打ち明けてくるのです。
「なんかこう。。口が渇いてな。心臓痛い。。」
「何や病気か？」
「わからん。おかしいんや。最近。」
そうオサムちゃんが言いだしたのは
その春 同じクラスになった
めぐちゃんを見てからだった。。
「ふっきゃん。恋か。。これが恋か。。」
「そりゃ恋や。それも初恋やな。」
「そやろな。俺初めてやで。
こんな気持ちなったん。」
「寝られへんか？そんなに苦しいか？」
「寝れるかいな！毎日めぐちゃんが
頭の中でグルグル回っとる。」
オサムちゃんは、毎朝通学の時
並んで登校する私に
自分の気持ちを吐露するのです。
めぐちゃんは、多分当時学校一の可愛い子で
誰もが憧れる、どこの学校にも居る
全てを備えた女の子だったのです。
テニス部に所属し
頭も成績抜群とまではいかないものの
その華麗さや、可憐さ。
何より顔がキャンデーズのランちゃん
そっくりの可愛さなのです。
そんなめぐちゃんが通るたびに
学校中の男子が憧れのアイドルを見ていた。。
そんな女の子だったのです。
オサムちゃんは
学校一のアイドルを思い続け
一年以上経った時
勉強も手につかず、クラブにも力が入らない。。
見ていて可哀相だったのですが
どう考えてもオサムちゃんとめぐちゃんでは
まさに「月とスッポン！」
難しいわけであります。
オサムちゃんは、珍しい男で
通信簿に ３や４がなく
主要科目は全て２ 副教科は全て ５！
あまりに珍しい成績を誇り
全く大切な科目は勉強しないで
副教科だけは、恐ろしい程の力を発揮し
特に体育に関しては、当時中学生ながら
５０メートル走では、5.7秒で走り
周りの先生達は、何とかそのパワーを
勉強にも回らないものか？と思われていたのです。
そんなオサムちゃんと
常にお笑いや野球のことを考えてしかいない私と
悲しいくらいウマが合い
その親友がここまで苦しんでいるのを
一年以上見ている私自身も、本当に 苦しくなり
「よし！任せろ！」
と策もないのに
大見得を切ってしまったのです。
それからが大変。。
「いったいどうしたら？」
頭が裂けるくらい考えを張り巡らせること1か月
私に、そしてオサムちゃんに
最大のチャンスがやって来たのです！
「よし！イケる！！」
これなら上手くいく。。
確信を持った私は 放課後
オサムちゃんの家で こう切り出したのです。
「あのな。オサム。。実はな。。
ひょっとしたらお前
めぐちゃんと付き合えるかも。。」
「ホンマ！教えろ！」
身を乗り出したオサムに。。
続きは明日。。
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Posted at 09:39