【金網の向こうに】
「回れ！回れ！ナイスバッチング！」
「よっしゃー同点じゃ！！」
「今、何アウト？何アウト？」
定休日だったこの日
父親が入所した介護施設から
朝早く電話が入り
「お父さんのお通じがよくなくて
浣腸を買って来て欲しいのですが
如何でしょうか？今日お越しになります？」
と連絡が入ったので
急いで
近くのドラッグストアに買いに行ったのです。
「浣腸？何個買って行ったらええんやろか？」
「3個くらいで良いって言ってたけどな。」
買ったこともなかったのと
何だか恥ずかしい？ので
家内に買いに行ってもらい
ひとり車で待っていた。
「お父さん、１０個買って来た！
意外と安いしね。ほら。」
家内らしいなぁ。。と思いながら。。
その足で、施設の方に持って行ったのです。
当初、「介護施設」「老人ホーム」「特養」
正直、自分の中でのイメージは暗く
可哀相？なイメージしかなかったのです。
しかし、成婚者さんが
老人介護のタクシーを経営していて
私が困っている、相談したところ
「先生、そりゃ全く違いますわ！
最近の施設はある意味天国でっせ！
まぁ、僕が一番、そうです
神戸で一番最高の施設教えますわ。
ホンマ見たらびっくりしますで！
ホテルでっす！」
「ホンマかいな？ホテル？」
「まぁ少し大げさですけど。（笑）
まぁイメージ変わりまっせ。
お父さんにとっても
それの方が絶対良いですわ。」
と言われたので
我が家の事情もある程度話していたし
彼も、本当に力になってくれたのです。
おかげで
ショートステイ、ロングステイを繰り返し
先日、ありがたく入所の運びになったのです。
最初は戸惑いを見せた父親でしたが
何度も、私と家内で
話しをしたら納得？したのか
今では、とても以前より元気になり
楽しそうに私の目には、そう思えるのです。
ホームの人に、軽い冗談を言ったり
何より、24時間安心な介護を受け
その上 前述の彼いわく
「食事が抜群！」と言っていただけあって
あの食事にうるさい父親が
「ホンマ美味いで。」と言うのです。
そんなホームからの帰り
草野球のグラウンドが見えて来たので
車を止めて、ひとり眺めていたのです。
家内は
何故かいつもついて来るチョコの散歩に
その公園を回りだしたのです。
きっと、家内はそれでも
毎回私が、父親に会いに行くと
少し無口になるのを知っていて
私の元から離れて。。と思ったのでしょう。
私が草野球を眺めていた、その時間。。
気づけば 30分は経っていたでしょうか？
チョコと車に戻って、スマホを触っていたのです。
「ごめん、ごめん。ついな。夢中になったわ。
やっぱり野球はオモロいな。」
と帰って来た私に
待ったのに！とも言わないで
「お父さんもやっちゃおか！昔みたいに！
無理かな、その身体じゃ（笑）」
家内の、その明るい気遣いが
私にはありがたく。。
そっか。。野球か。。
金網の向こうに行ったろか。。
無理か。。
最後までご愛読ありがとうございます。
しかし楽しそうだったなぁ。。
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Posted at 09:39