”負けず嫌いにも程がある”
「お父さん、これ、どうやって焼く？
甘辛？塩？」
「まぁなんでもええよ。。
甘辛にしよか。」
「いつ買ったんやっけ？」
「知らんわ、もう二週間くらいに
なるんちゃうか？」
「二週間！！」
「大体、忘れてたやろ？」
昨夜、卑しい私が、夜中に
「パピコ」か「チューチュー」
ひよっとして 「スイカバー」が
冷凍庫に入ってないか？と
ゴソゴソしていたら
「あれっ？これ？イカ？いつの？」
と、思ったのも仕方ないくらいの
遥か前に買った「イカ」
「お父さん、これ美味しそうやね」
と買った事も、忘れてたのか？
朝、起きたら聞いてみよう。。
翌朝、家内が目を覚ましたな？
と思ったと同時に
「お母さん、イカ忘れてない？」
「イカ？はぁ？何言ってんの？」
「イカ、いつか。買ったよな？」
「どうしたん？」
「いやぁ、冷凍庫に入って。。。」
「あっ！忘れてた！イカ！いつ見たん？」
「ゆうべ。。」
「あっ！またチューチュー探してたね？」
「違うわ！」
図星なのである。。
「無いよそんなん
もう秋越えて、冬やで。（笑）」
結果、階下に家内が降りた時
「イカ！そうそう。。買った。買った。。」
今、思えばあの時。。
捨てておけばヨカッタ。。
「今晩、食べよ！勿体無い！」
「いやぁ、アカンと思うで。。俺は。。」
「ほら！大丈夫やって！匂って」
「まぁ何か。。氷の匂いしかせえへん。。」
「ラッキーやって。お父さん。
今晩、これと豚汁でいける！」
私は、食に関しては、まず
「これはいらない。。」とか
「こんなもん食べるか！」とは
言った事が無く。。
これは、親父の影響か。。
子供の頃から、食にうるさい親父を見て
亡くなったお袋が
それによって苦労をしていたので
私自身は食に関しては
一切の文句を言わないと。。
家内は、それだけは
きっと感謝しているんじゃないか？と。。
「まぁ、別にええよ。。勿体無いしね」
そして、仕事から帰って来た家内が
「イカ」を丁寧に捌きながら
「ビールに合いそ。。ふふふ。。」
と、ご機嫌な感じが
妙に嫌な予感がして。。
家内は、負けず嫌いなのである。。
きっと、自分でも
「大丈夫か？このイカ。。」
と思っている筈。。
しかし、言った手前。。
今更、引くこともできず。。
一気にフライパンで焼き出したのでしょう。。
向こうの部屋で、落語を聞いていたら。。
「えっ！何！凄い匂い！お母さん！
何か凄い匂いしてるけど？」
「あっ。そう？」
「いやいや、アカン！アカン！
ちょっと待て！めちゃくちゃ臭い！！」
「そうかなぁ？」
そうかなぁ、な訳ないやろ！
絶対、臭いのである。。
家内はわかってる。。
結果、根性と現実逃避の家内が
焼ききった「イカ」
「さぁ、食べよ！」
部屋中にこもる、イカの匂い。。
おまけに、新しく買ってきていた
大根の漬物の、何とも言えない
酸っぱい匂いが入り混じって
「臭さのハレーション」
がおきてしまった、狭い部屋。。。
「お母さん、これは。。
なんぼなんでもアカン。。臭い。。」
「ホンマ、絶望的な匂い。。
お父さん。。家中の窓開けよ。。」
やっと、認めた。。。
最後までご愛読ありがとうございます
肝心のイカですが。。
これが意外と？
美味しかったかんだよなぁ。。
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Posted at 08:22
