【線香花火】
「お母ちゃんが、持っとったるから大丈夫やで!」
「ぜったい、ぜったい
とちゅうではなさんといてよ!
ぜったいやで!」
「お母ちゃん嘘なんか言うかいな!
ホンマに怖がりやな(笑)」
線香花火を片手で持ち
器用にマッチを擦りながら
母親が残りの一本に火を点け
「最後くらい、しょうじも持たんか!」
「いやや!しんでもいやや!」
上の兄が、その様子を見て
「怖いんかハハハハハ!!
アカンタレやな!」
「こわないわ!
お母ちゃんがうそ言うたらどうすんねん!」
真ん中のひとつ違いの兄は、とても優しくて
「もたんでええで
お母ちゃん。な。しょうじこわいねん」
そう言ってると
母親が持っていた線香花火が
消える前に一瞬ボワっと赤い玉が膨らみ
地面に落ちたのだ
それを見た上の兄が
「あーあ。。終わりやん。
もうないよな?最後やんな?
しょうじは結局持てんかったな。
まぁ、まだ小さいか。(笑)」
「小さないわ!持てるわ!
今度持ったるわ!」
そう言った瞬間
堰を切ったように私は何故か涙が溢れて来て
家に帰るまで
「お母ちゃんが言うからや!!
お母ちゃんが持てって言うたからや!!
わぁあああーん!!」
帰り道母親の背中を叩きながら
泣きじゃくったあの夏の夜。。
末っ子の甘えん坊の私を
「泣きないな(笑)わかったわかった
しょうじはええ子や、お母ちゃん悪かった」
50年以上も前のこと
あの時間が鮮明に
そして
スローモーションで
見ているように覚えているのは
何故なんだろうか?
そんな母親が亡くなり
今年4回目のお盆がやってくる。。
あの線香花火のように母親は亡くなる前
それまで10年以上の寝たきりだったのに
亡くなる3週間前に家族全員が揃ったお正月
その日だけ信じられないくらい元気になったので
皆が安心したのですが
命の火が燃え尽きたかのように
最後はあっけなく
兄や孫達の来るのも待たないで
息を引き取ったのです。
母親が亡くなるその時に私はその瞬間に
何故か?今でもわからないのですが
あの「線香花火」の
あの夜を思い出していたのです
「あ。。もう終わりなんや。
オカン終わりなんや。。」
慌ただしく動き出した
看護師さんや病院の先生に頭を下げて
最後に母親の身体を抱いた時
あの私を背負った母親の気丈な身体はなく
片手で抱けるほどだったのです。
それが悲しくて切なくて
やはり、あの線香花火の夜のように
泣きじゃくってしまったのです
「オカン、俺はアカンタレやな。
末っ子やわ。いつまでも。」
最後までご愛読ありがとうございます
花火は何だか悲しいですね。。
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Posted at 09:39