”火の用心！！”
「福山さん！福山さん！ちょっと！ちょっと！」
「はい。どもども。こんにちは。」
坂の下から、私を目がけて
走って？駆け寄って来るのは
ご近所の
「通称スピーカーおばちゃん」のＦさん。。
「どしたの？お母ちゃん？」
私の住んでいる、この辺りには
町内会なる誠にありがたい存在？があり
古くから、お住まいになられている方を中心に
その存在は 最近？の若い方には
なかなかご理解頂くのに
時間がかかる訳であります。
先ず、町内を4ブロックに分けて
各それぞれが、持ち回りで代表を
二年ごとに一人選出といっても
ただ順番が回ってくるだけの事なのですが
私の住んでいる第三ブロックは
比較的新しい住民(それでも築15年。。)の
私以外は、ほぼ全員が
「生まれた時から。。」
と言っても過言でない
お年を召されていらっしゃって。。
残念な事に？私はこの第三ブロックでは
「超若手！」なのであります。
一度、こちらに引っ越して来た時に
役員なるものに選抜され
右も左もわからない私が
町内会の副会長に抜擢？され
「これからは、君たち若い人がこの街を。。」
と言われたのですが
実は、やる事はほとんどないのであります。。
穏やかなこの町内に、特別な事は、何も無く
ただ回覧板を回す、回収するくらい
だった気がするのです。
全ては、役員になろうが、会長になろうが
この辺りの全てのルールは
町の重鎮達がお決めになるのです。
三名ほどの、おばあさまが
お決めになっていると言われています。
会長なんて、その方達になって頂ければ
いいと思われるのでありますが
それは、ルール上無理で？15年に一度しか
その大役は回って来ないのです。
それでも一度提案した事があったのですが。。。
全くその気配は無く。。
この三方は、いつも私の家の
近くに集まっていて
「あんた何処行くの？」
「仲ええなぁ。あんたら。」
毎回同じ様なお言葉を頂くのです。
しかし この人達のおかげで
町の秩序は守られていると言っても
過言ではないのです。
会長などは、何の権限も
持ち合わせては居ないのであります。
現会長などは
「ちょっと。あんた火の用心！しなあかん」
と素敵な？ご提案をされ
「はい。。そうですね。。」
と町内会の有志を集めて
(と、言っても、会長と、その三名。。)
が、今時？
「火の用心！！マッチ一本火事の元！！！
火の用心！！！」
真っ暗でもない
大きなマンションが建ったお陰で
道は街灯がチカチカ光っているにも関わらず
そんなに深夜？でも無く。。
多分。20時頃だと思うのですが。。
(きっと。それ以上の深夜はキツイ。。
と思われる)
町の住民、かなりの人達が 今まさに
「食事中！」
と思われるこのお時間に
「火の用心！！！火の用心！！」
と聞こえたものだから
思わず、私は家を飛び出して
(怖いもん見たさ。。)
その三名の先頭で
カチャカチャ！！
と火打ち石？とでも云うのでしょうか？
叩きながら、頑張っている現会長を見て
まるでコントの様で
一人、それを見て
もう可笑しくて可笑しくて。。
翌日、三名の方が
また家の前でおしゃべりしていたので
「おはようございます。
昨夜はご苦労様でした。お陰で安心して。。」
と言うと
「あかんわぁ。一周回ったら。
しんどうてなぁ。。」
「あんたら、若いもんがやってくれたらなぁ。。」
「お母さん。。いえいえ。そんなまだお若い。。」
「そっか。。（笑）」
「でも。ちょっと時間が早いかな？なんて。。
火の用心。。のお時間が。。」
「ホンマ、ホンマ。。まだまだ明るいわ。。
仕事帰りの人が多いわ（笑）」
「ですよね。（笑）」
愉快なこの町？の役員選挙？なるものが
来週にあるらしい。。
そして前述したFさんが、私の耳元で
「あんたが会長したらええねん。
もうあんたらの時代や。」
だって。。
きっとそんな訳はないのです。。
多分、来月辺りには
三名のお母様達の先頭で
「火の用心！！！
マッチ一本火事の元！！！」
の気がするのです。。
最後までご愛読ありがとうございます。
会長だけにはなりたくない。。
恥ずかしい。。火の用心。。
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Posted at 09:39