”スタそさん②”
「ジョニーさん、どこ行きますの？」
「まぁ黙ってついて来い！」
「ところで、ジョニーさん
今日のみきわめ合格したんですか？」
「あんなもん、アカンわ
先公、もう一回や！言いやがって。。」
また、落ちたのか。。
ジョニーさんは、わずか
一段階目のみきわめというのは
二段階に上がる為の、いわば試験で
このテストを受けて通らないと
次の段階には、進めないのです。
今でも、もちろんそうなのかは
知らないのですが。。
当時、一回落ちると
一回につき2500円を払って
もう一回テストを受けるのですが
ジョニーさん(後にスタそさん) は
何と！4回も落ちていたのです。
理由は、明白で
全然運転技術が
足りて？ないのです。
ジョニーさんが、運転をしだすと
ギャラリーが溢れかえるほどの
賑わいを見せ
「おいおい、ジョニーさんや
アホのジョニーさんや！！」
「見てみい！エンスト！（笑）！！」
「緊張してる！！（笑）」
「ジョニー！！！ジョニー！！
真っ直ぐ走れ！！（笑）」
まさか、こんなギャラリーが
野次を飛ばしているとは知らず。。
「みきわめ」から帰って来たジョニーさん。。
「どうでした？」と聞くのも
はばかれる程の落胆ぶりで。。
「まぁ次が有りますよ。。」
と声を掛けるのが精一杯で。。
そう言えば、ジョニーさん
私より、一カ月以上前に入学してるよなぁ。。
と 私の方が、先に二段階に上がったのも
何か悪い気がして。。
そんな、愛すべきジョニーさんが
今日、行きたい所がある。。
それも、三宮に
帰りにわざわざ、私を連れて行きたい。。
三宮の雑踏をすり抜け
慣れた足取りで向かった地下街に
スーッと、身体を滑り込み
「ここや。。」
「えっ。。立ち食いうどん？。。」
「そうや、世界一美味いんや、ここは。」
「世界一？」
ジョニーさんの世界の中では、一番なのか。。
「へいらっしゃい！！」
「オヤジ、今日は二人や、ツレや。」
「おお、珍しいでんな。」
完全に常連やないか。。
それも立ち食いうどん屋で。。
と思っていたら
「オヤジ、俺、スタそとスタう。」
「ハイよ！スタそとスタう！」
「えっ。。何？」
「福やん、何する？」
「何ですか？スタそや。。スタう！って。。」
「お前知らんのか？
スタミナソバ。。略して スタそや！
うどんは、スタうや！」
「スタそ。。。スタう。。。」
「そうなんですか。。じゃ僕はスタうで。。」
「お前、スタうだけしか食べられんのか！！
ハハハ！！」
「立ち食いうどんで二杯も。。ちょっと。。」
「まぁな。。
まぁ俺は、楽勝やけどな！！！！」
出て来たスタそは
油揚げと肉と卵とワカメが入った
少し大き目の 器に入った
その店の食材全てが
「これでもか！！」と入っている
一番値段の高い「一品」らしく
もう一杯も食べたら。。
お腹一杯。。
なのに、ジョニーさん。。
二杯も。。
しかし、横で見ていたら
明らかに、スタそは良かったのですが
スタうにかかった頃には
スピードが落ちている。。
「大丈夫ですか？ジョニーさん？」
「はぁああああ？楽勝やろ、こんなん！」
「なりゃ、いいですけど。。」
それでも、何とか
頑張って食べたジョニーさん。。
「オヤジおおきに！！」
と暖簾をくぐり、外に出る時に
左側を一回だけ一瞥して
「ほな、行こか。美味いやろ、スタそ。」
「美味しいですね、ジョニーさん」
世界一ですか？とも聞けず。。
きっと、今日のみきわめで落ちたので
名誉挽回なのか。。
私にだけでもいいところを見せたいのか。。
しかし、それが「スタそ。。って。。」
明くる日からは、教習所内では
ジョニーさん！と呼ばれること も無く
(もちろん誰も呼んでないのですが。。)
周りの方も、もちろん教習所の先生までもが
「オイ！スタそ！」と呼んでいるのです。。
「何で皆んな知ってんのや？」
私に決まっているのに
訝しげな顔をしている。。
そんな、愛すべきジョニーこと「スタそ」さん
彼の知らないところで
噂が段々と大きくなり。。
続きは明日ね。。
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Posted at 09:34
